苗木作り

アボカドの苗木作り

アボカドの苗木を手に入れるには... と進めたいところですが、あまりにもマイナーな作物なため一般の苗木店で入手するのは困難みたいです。そのため、基本的に自分で苗木を作ることになりますが、接ぎ木の仕方を覚えればそんなに難しくないんだそうです。ただ、接ぎ木をしてまでも... という方は、とりあえず実生栽培をしてみてはいかがですか?

タネはスーパーで一年中売られているメキシコ産などのアボカドを買ってきて播種すれば良いんですが、このスーパーでよく見かける「ハス」と言われる種類のアボカドの苗木は耐寒性に弱く、マイナス2℃以下になると凍死してしまいます。寒冷地でなければ、この品種のタネから苗木を作ることもできますが、拘るのであれば「ベーコン」など耐寒性に強い品種の果実を買ってきて台木にすると良いかもしれません。私の住む埼玉県南部では、真冬に霜が降りることもありますが、「ハス」の実生でも育っています。

一般的に播種は10〜11月に行い、種皮を剥ぎ、タネの頂点を少し削り取ると発芽率が良くなります。ただ、タネを切るときには胚に傷をつけないようにしましょう。タネの尖った頂部は5mmほど、平らな底部は2mmくらい薄く切り取ります。その後、傷口からの腐敗を防ぐために日陰で乾燥させます。

...とは書いてみたものの、このHPをみて頂ければ分かると思いますが、私の場合、発芽時は室内で温々と水耕栽培させておりますので、そんなことは全然気にしていません。1ヵ月で発芽することもあれば、1年経っても発芽しない場合もあります。

ちなみに接ぎ木をする場合は、水捌けの良い土を入れた容器にタネを入れ、25℃前後で管理すると2週間ほどで発芽します。台木にする「ベーコン」の果実が手に入るのは10月以降なので、すぐに播種して下さい。この時期になると寒くなってくるので、ビニールトンネルなどを利用し締め切った状態で蒸し込み発芽させます。そしてモヤシ状に伸ばして、ボールペンほどの太さになったら接ぎ木して下さい(1〜2月頃)。春になればビニールトンネルから外に出しても大丈夫ですが、急に直射日光に当てると日焼けをおこすので注意しましょう。



適した環境と管理

アボカド栽培を本格的に露地で行う場合は、柑橘系の果実を栽培できるところが適しています。その主たる条件を挙げると、南に面した緩斜面であること。気流の停滞がないこと。強風被害が少ないこと。水捌けが良く、水もちが良いこと。弱酸性であることです。鉢植え栽培であれば、水捌けの良い植木鉢に水もちの良い土を入れ、日当たりの良い南側に置いて、雨風の強い日には避難するなどすれば条件を満たせるはずです。

弱酸性(pH5.5)土壌を保つためには、石灰を散布して調整します。アボカドの産地であるカリフォルニアでは、アルカリ性の土壌のため鉄や亜鉛が不足するため微量元素の散布を行っています。pHがあまりにも高い場合はイオウ粉末を散布することもあるようですが、日本ではほとんど行われません。

ポットで育苗された接ぎ木や台木の植え付けは、遅霜の心配のない4〜5月頃に行います。長くポットに入れたままにしておくと底の部分で根がクルクルに丸まってしまうため、育苗はできるだけ短期間(約1年)に留めるようにします。アボカドは根が弱いので移植をあまり好みません。大きめの鉢に移植する場合は、根を傷めないように細心の注意が必要です。また、根が柔らかく切れやすいので、移植後は風で根元が揺すられないように支柱を立てると良いかもしれません。

アボカドを定植してからは霜に注意してください。霜にあたったり、雪が積もったりすると葉焼けをおこしてしまいます。霜が降りるということは気流が停滞しているということなので、鉢植えなら場所を移動して気流が停滞しないようにしましょう。

「ベーコン」などの直立性品種では、新梢がどんどん伸びていくので先端を摘芯し、側枝の生長を促し丸みを帯びた樹形に仕立てていきます。

アボカドは剪定しないと内部の枝が枯れてきます。枯れ枝が多くなると炭そ病の原因になるので、枯れ枝は取り除き樹冠内部が混み合わないようにします。枯れ枝ができてしまう原因は、太陽光線が不足している証拠なので、枝の間引き剪定を行って下さい。ただし、この剪定を真冬に行ってはいけません。理由は冷害を助長する(寒波から樹を守るには枝葉が必要)からで、暖かい地域であれば心配ないかもしれません。

実がなるのはちゃんとした苗木を購入して育てても5年はかかるので、我が家のような実生鉢植え栽培は初結実まで何年かかるか分かりません。どうか気長にお付き合い下さいね!